特別講座「災害時にも役立つ『日本の食』を学ぼう!」

講師:山口 雅子氏(環境と食のアドバイザー、静岡県環境学習指導員、中医薬膳指導員他)

 

 ご飯と味噌汁、漬け物を基本とし、乾物、常備菜を取り入れた「日本の食」は、もともと保存が利き、環境にも人間にもやさしい、世界に誇るべき<知恵がいっぱいの健康食>です。

 災害時のために非常食を備えていても、いざという時に賞味期限切れになっていたり、電気やガスが使えず食べられなかったりということでは意味がありません。

普段から、地震などの災害時に困らないよう、日々の暮らしに保存食を取り入れるようにしましょう。

 どんなものを揃え、どのように毎日の食卓で使っていれば困らないのか、また、水や火を最小限に抑えた調理法、なるべく洗い物を少なくするワザ、普段の生活にも役立つ冷蔵庫に頼らない食材の保存法、長持ちする調理法などについて一緒に学びましょう。

 

ということで始まった今回の講座。

 

まずは、たくさんの乾物や保存食品の展示を紹介しながら「葛粉と片栗粉、どちらもトロミをつける食材だけど、葛粉の方が子どもや高齢者の身体にはいいのよ。どうしてか分かる?」と講師。

葛の根から採れる葛粉には身体を温める作用があり、じゃがいもから採れる片栗粉は反対に冷やす作用があるとのこと。驚きですね〜!

 

調味料は、確かな材料を使い伝統的な手法で作られた物は安くはないけれど、使えば味はグレードアップ。安価な物は、添加物でごまかして作られています。「美味しい!」って家族が喜んでくれる料理を作るためにも良質な調味料を選んで使いましょう。

 

そして、お野菜。農薬や化学肥料を使わず育てたものは、見た目は悪いかもしれないけれど皮まで安心して使えます。それに、やっぱり味がいい!!子どもには、本物の味を知って欲しいですよね。

調理実習

今回のメニューは…


<リボンサラダ>写真左下のボウル

大根、人参、きゅうりをピーラーで太めのリボン状にむき、食べる直前に梅酢ドレッシングで和える。

 ★梅酢ドレッシングのレシピ(基本)

 太白ごま油1/2カップ 赤梅酢1/3〜1/2カップ弱 はちみつ大さじ1/2


<切り干し大根とコーンのサラダ>写真上部左から2番目のボウル

切り干し大根は、サッと洗い少量の水で戻して、水気を切ったコーン(缶詰め)を混ぜ、塩麹+マヨネーズを加えて混ぜる。


<ひじきとツナのサラダ>凍り豆腐の左側

ひじきは水で戻す。(これで煮たひじきになる)これにツナ缶(オイル漬け)を混ぜ、梅酢ドレッシングやマヨネーズ、酢しょうゆなどで調味。


<人参とレーズンのマリネ>リボンサラダの右横

人参を千切りにして、水で戻したレーズンを加え、梅酢ドレッシングで和える。


<酵素玄米ご飯のおにぎり>

先生が炊いてきてくれた酵素玄米(小豆入り)ご飯を小さめのおにぎりに…


<車麩のソテー>おにぎりの左横

1.車麩は水につけて柔らかく戻す。

2.1ヶを4等分して、調味液(しょう油+ダシ汁(昆布、しいたけ))に漬け、味をしみこませる。

3.小麦粉を両面につけて、熱してごま油を敷いたフライパンでこんがり炒める。


<煮ないみそ汁>

1.出し汁を火にかけ、味噌で味付け。

2.味噌汁腕にあおさ、ふのり(いずれも海藻)、水で戻したお麩を入れ、調味した汁を注ぐ。


<炊かないご飯>人参マリネの上

1.玄米を炒る。

2.炒った玄米に湯を注ぎ入れ沸騰したら火を消して、保温。(鍋をタオルや新聞紙でくるむ)

とっても甘くて、香ばしいご飯でした。


<凍り豆腐の煮物>

先生が出し汁たっぷりで煮てくれました。薄味で美味しい。


<柿と切り干し大根のかぼす和え>

冷蔵庫でバリバリになってしまった切り干し大根が変身!

柿のスライスとかぼすの搾り汁で和えただけ…甘味と酸味がちょうどいい♡


<赤大根の酢の物>

大根を銀杏切りにして、梅酢とはちみつで漬ける。


<大根葉の常備菜>右下

大根葉に干したエノキを加えてしょう油とラー油で味付け。辛さが丁度よく、ご飯がすすみます。

※エノキは冷蔵庫に入れない方が良いそうです。ほぐしてザルにのせ、天日干しにするとうま味もup!


<グルテンバーガーのそぼろ風>

グルテンバーガーは、小麦たんぱくと大豆だんぱくを主に本醸造しょう油、植物油脂、酵母エキス等を加え、挽き肉状に加工した植物性たんぱく食品。コレステロールの心配がないんだよ。(三育フーズ(株)http://www.san-iku.co.jp/)


<即席漬け>

1.キャベツは手でちぎる。

2.タマネギは、半分に切りビニール袋に入れてすりこ木などでたたく。

3.人参はそぎ切り。※まな板を使わない

上記の野菜と刻み昆布を一緒にビニール袋に入れて塩を加えてもみ込む。(好みでしょう油を加える)


どの料理も細かい分量の指示はありませんでした。

先生曰く「すべて自分の身体と舌で覚えよう!カンを働かせながらチャレンジすることが大事」

洗い物が少なくすむようにワンプレートに盛りつけ。

お肉や魚がなくっても大満足!!

グループワーク「電気もガスも使えない!その時どうする?」

冷蔵庫にあるもの、普段家にある野菜や缶詰め、乾物を使って、4人家族で3日間のメニューを考えよう!

(冷蔵庫にあるもの)たまご1パック・鮭切り身4切れ・鶏むね肉・豆腐・大根・ 

          青菜・こんにゃく

(常温保存のもの)玉ねぎ・ジャガイモ・かぼちゃ

(乾物など)グルテンミート・サバ(缶詰)・春雨・かんぴょう・大豆(缶詰)

 

 班>

まずは、鶏むね肉、鮭に塩をまぶして日持ちするようにする

1日目

(朝)ご飯、味噌汁 (豆腐半丁、青菜、かぼちゃ)、ふりかけ(サバ味噌煮缶、大根葉)※青菜は全部茹で、茹で汁で味噌汁を作る。茹でた青菜半量使用

(昼)おにぎり(梅干し)、朝の味噌汁、大根とこんにゃくの炒め煮(サバ缶汁使用)

(夜)ご飯、鮭のスープ(鮭2切れ、大根、玉ねぎ、豆腐半丁)サラダ(春雨、鶏ハム、

                                    玉ねぎ)

※スープを作る鍋の上で鶏肉(→鶏ハム)、ジャガイモを蒸す(二段調理)

 

2日目

(朝)ご飯、夕食のスープ、卵焼き(疲れた時に嬉しい少し甘めの)

(昼)おにぎり、ふりかけ、青菜のおひたし、サラダ(鶏ハム、ジャガイモ)

   ※火を使わない

(夜)鮭の炊き込みごはん(鮭2切れ)、かぼちゃの煮物

                      ※炊き込みご飯炊飯時、一緒に入れる

3日目

(朝)昨夜のご飯、味噌汁(大根、かぼちゃ)、目玉焼き、ふりかけ

(昼)ご飯、和風ジャーマンポテト(じゃがいも、玉ねぎ、大豆缶詰)、味噌汁の残り

(夜)かんぴょう炊き込みご飯、グルテンミートの卵とじ(玉ねぎ、卵)

★工夫した点…傷みやすい肉、魚に塩をふり下ごしらえをする

       二段調理する、同じおかずを二回続けて食べる

 班>

※先に常備菜を作る

 大豆・こんにゃく・かんぴょう・鶏肉の五目煮

 鮭フレーク(鮭・青菜・ゴマ)

 大根と春雨の酢漬け

 

1日目

(朝)常備菜とけんちん汁(大根・青菜・かぼちゃ・鶏肉・こんにゃく)

(昼)鮭のホイル焼き(鮭・かぼちゃ・玉ねぎ・青菜)

(夜)親子丼(常備菜を卵とじにする)

 

2日目

(朝)常備菜と春雨スープ(卵・かんぴょう)

(昼)肉じゃが(グルテンミート・じゃがいも・玉ねぎ)

(夜)豆腐ハンバーグ(豆腐・サバ缶)

 

3日目

(朝)残り野菜のみそ汁(じゃがいも・大根)

(昼)卵チャーハン(常備菜を加える)

(夜)かぼちゃのそぼろあんかけ

        (かぼちゃ・グルテンミートを細かく切ったもの)

★工夫した点

1.常備菜を先に作り、常に食卓に

2.常備菜とけんちん汁を途中まで一緒に作り、それぞれに分ける

3.常備菜を他の物にリメイク出来るようにする(親子丼、チャーハンなどに)

4.ホイル焼きで洗い物を少なく

 

 

 班>

1日目

(朝)焼き鮭(生鮮食品から使う、塩をして焼いてしまう、半分は明日のシチューに

   使う)豆腐の味噌汁

(昼)鶏肉を茹でてハムにする(生鮮食品に塩をして火を通してしまう)

   春雨スープ(青菜、卵2)※ハムの茹で汁を利用する、葉物を早く使う

(夕)グルテンミートのカレー(玉ねぎ、じゃがいも、グルテンミート)

   ※省エネのため昼に火を使うときに下ごしらえも済ませる

 

2日目

(朝)ハムエッグ、卵4※ハムを使いまわす味噌汁(青菜)

(昼)大根、ハムサラダ※火を使わずできるものカレー※昨日のもの

(夕)鮭シチュー(玉ねぎ、じゃがいも、鮭)※昨日焼いた鮭を使う、省エネ

   のため朝火を使うときに下ごしらえも済ませる

 

3日目

(朝)さば缶、大根の味噌汁※大根を使いまわす

(昼)大豆、ハムサラダ※火を使わずできるものかぼちゃスープ(玉ねぎ、かぼちゃ)

(夕)かんぴょう炊き込みごはん、おでん(大根、卵4、こんにゃく)

             ※省エネのため朝火を使うときに下ごしらえも済ませる