講演会「“わたし”の視点で家族と地域を守る」          &HUG(避難所運営ゲーム)体験会 開催報告

講師は、静岡大学教育学部 同防災総合センター、減災と男女共同参画 研修推進センター共同代表 池田 恵子氏。

 

H25年度に静岡県男女共同参画センター「あざれあ」主催で行われた女性防災リーダー育成事業の講座でも講師を務められていました。

私たちは、池田先生のお話しをうかがって、女性とくに母親が積極的に地域の防災活動に関わっていくことの大切さを知り、この「いわた防災ママプロジェクト」が始まりました。

 

この講演会の中では、 大災害時の避難所生活の状況を詳しく教えてもらいながら、性別や立場によって被災に違いがでてくることや、今からできる地域での対策、そして災害時に子どもを守ることについて学びました。

 

プライバシーや衛生面・安全面の問題、物資やボランティアそして情報を受けることなど、避難生活者はどこに身を寄せてもジレンマに陥ります。

 

関連死の約半数が避難生活での疲労(肉体的・精神的)が原因。男性は、ストレスを溜めこみやすく孤独死が多くみられ、女性は我慢する時間が増えることでエコノミークラス症候群の重症患者になりやすいと報告されているそうです。

 

また、安全面では被災地の女性や子ども(男女とも)たちは、性暴力やDVの被害者になることが多いという報告もあるそうです。

「被害を受けやすい人だけに注意喚起するだけでは、根本的な問題解決にはつながりません。悪いことをする人が出ないようにするための環境作りには、男性の協力が重要です」と教わりました。

 

また、声を上げにくい子どもたちや障がい者、高齢者、女性たちの意見を聴く場を作ることも必要とのこと。

 

「男性まかせになりやすい避難所運営や復興協議へ女性や障がい者、外国人などが参画していくことで、多様な被災者のニーズが把握でき、互いの理解も進みます。

普段から、女性も地域防災に積極的に関わり、責任ある役割を担うことも大切です。

そして、今まで見落とされてきた問題点を地域で話し合い、解決策をみつけていくことで、災害に強い地域がつくられていきます」と教えていただきました。

 

一人ひとりが声を出していきましょう。

女性のネットワークを活かして、各地域での取り組みを情報交換しながら良い事例を取り入れていけるようになるといいですね。

 

参加者からは、

 

・女性の目線を取り入れていくには、普段から女性も入っておくことが大切だと思った。

・男女ともにお互いの意見を認め合っていくのが大切だな、と思う。

・性別に関係なく、みんながやるべきことをしっかりやるという意識のため、もっと多世代に知ってほしいと思う。

などの感想が寄せられました。

*避難所運営ゲームHUG体験会* 

もし、あなたが避難所の運営をしなければならない立場になったとき、最初の段階で殺到する人々や出来事にどう対応すれば良いのでしょうか。
避難所HUGは、避難所運営を皆で考えるためのひとつのアプローチとして静岡県が開発したものです。避難者の年齢や性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所の体育館や教室に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。

 

プレイヤーは、このゲームを通して災害時要援護者への配慮をしながら部屋割りを考え、また炊き出し場や仮設トイレの配置などの生活空間の確保、視察や取材対応といった出来事に対して、思いのままに意見を出しあったり、話し合ったりしながらゲーム感覚で避難所の運営を学ぶことができます。

HUGは、H(hinanzyo避難所)、U(unei運営)、G(gameゲーム)
の頭文字を取ったもので、英語で「抱きしめる」という意味です。
避難者を優しく受け入れる避難所のイメージと重ね合わせて名付けました。

 

以上、静岡県HPより抜粋

 

このゲームには正解がありません。

みんなで話し合い出した答えが正解になります。

話し合い、意見を出すことが重要とのことです。

 

参加者は、避難所の受付係り、運営側の立場にいます。

1枚のカードを避難者にみたて、そのカードに記載されている情報をもとに避難所(体育館や学校の教室など)のどこを、その人(家族)たちの居場所にするかを決める話し合いを皆でします。

 

大けがした人、ペットを連れてくる人、両親とはぐれた子ども、観光バスで来た外国人旅行者、障害を持っている人…様々な人が避難所に来ます。

 

どこへ案内すればいいのかてんてこ舞いの中、報道の取材が来たり、支援物資が届いたり…それらの対応もしなければなりません。

 

中には、「使用禁止のトイレがあふれているぞ!」と怒鳴り込んでくる人もいたりして…

たった10分程度のゲーム体験でしたが、多くの参加者が「パニックになった」と感想に書いていました。

 

実際にこんなことがおこらないように、事前にあらかじめ起こりそうなことを予測して、話し合い、決めておくこと、そして、それを住民が周知していることが大切だね~と実感。

 

話し合う時には、自主防災会の役員さんにお任せするのではなく、自分たちも良いアイデアを出して、運営する人ばかりが大変な思いをしないように協力したい、という意見も出ました。

 

次回は、男性も交えてゲームをしたいという人が多かったです。

性別、年齢、立場の違いにより考え方も様々だということを皆が理解しておくことも大切ですね。その上で、みんなが安全に安心して暮らせる避難所を市民の力で運営できるように体験を重ねていきたいです。